成年後見制度 後編
前回に続き、対象になられる方に行う「後見、保佐、補助」などについて掘り下げて説明致します。
法定後見の3つの類型と役割について
法定後見は、「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があります。それぞれの類型によって、後見人に与えられる権限や職務の範囲が異なります。
後見・保佐・補助人(以下、後見人等)には、日用品の購入など日常生活に関する行為の権限はありません。さらに、本人に後見人や保佐人がつくと、医師や税理士などの資格、会社役員や公務員の地位を失い、印鑑登録も抹消される点に注意が必要です。
●後見の対象となる方
対象者
- 日常の買い物ができないなど、判断能力がほとんどない方
後見人の権限
- 被後見人の財産管理や法律行為を代理して行う権限
- 被後見人が行った法律行為を取り消すことができる「取消権」
※ただし、自宅の処分については家庭裁判所の許可が必要です。
●保佐の対象となる方
対象者
- 日常の買い物は一人でできるが、不動産の売買など重要な財産行為を行う際には支援が必要な方
保佐人の権限
- 被保佐人が行う重要な財産に関する行為についての同意権と取消権
重要な財産に関する行為の例
- 借金や訴訟の対応
- 相続の承認や放棄
- 新築や増改築などの大きな支出を伴う行為
これらの行為は、保佐人の同意が必要です。もし保佐人の同意なく行われた行為は取り消しが可能となります。さらに、家庭裁判所の審判により、特定の代理権や同意権を追加することも可能です。
●補助の対象となる方
対象者
- 日常の買い物は一人でできるが、家の新築など重要な財産行為を適切に行うのが難しい方
補助人の権限
- 家庭裁判所の審判により、借金や訴訟の対応、相続の承認や放棄、新築や増改築といった法律で定められた行為の一部に同意権と取消権が与えられます。
また、保佐と同様、家庭裁判所の審判を通して特定の法律行為に対する代理権を追加することも可能です。
【後見人の主な仕事】
後見人は、以下のような業務を行います。
- 預貯金の管理・解約
- 介護保険の契約(施設入所のための手続きなど)
- 身上監護(生活環境の整備や健康管理を行う支援)
- 不動産の処分(家庭裁判所の許可が必要)
- 相続手続きの代理
- 死後の事務手続き(死後事務委任契約による対応)
これらの業務は依頼の内容によって異なり、費用にも違いが出てくるため、事前に見積もりを取っておくと安心です。
後見、保佐、補助の3つの法定後見制度は、本人の判断能力に応じた支援を受けられる仕組みです。それぞれに対象となる人の判断能力や、後見人に与えられる権限が異なるため、本人や家族の状況に合わせた選択が必要です。
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